おつかれさま。今日はどんな一日だった?
どうも、とある広告マン「free」です。
まずですね、先週、先々週と全然配信できておらず、
自分で毎日やるって言いながら、ぐーの音も出ないほどの失態です。
ちょっとね仕事が佳境だったっていうね、言い訳をさせていただきます(笑)
今日から気を取り直してやっていきたいと思います。
で、今日はですね、黒澤明監督の映画「生きる」の話をしたいと思います。
これはね、本当にすごい映画です。
まず、主演の志村喬さんの演技力がハンパないんですよ。
もうね、主人公のイケてないオッサンの役がうますぎて、もう笑っちゃうくらい。(笑)
ただこの志村喬さんなんですけど、「七人の侍」にも出てて、その時は全然印象が違うんです。両方見ると、一段と凄さがわかりますね。
映画の冒頭で、いきなり胃袋のレントゲン写真が出てきて、
「これはこの物語の主人公の胃袋である。本人は胃ガンであることにまだ気づいていない」っていうナレーションから始まるんですね。
で、主人公は、市役所の市民課っていう、市民の声を聞く部署の課長をやってるんですけど、そのね、仕事するシーンが、見るからのお役所仕事で、めちゃくちゃ面白んですよ。
主人公の課長が、淡々と書類に1枚1枚ハンコを押していくっていう。(笑)
で、ここからが、この映画の起点のシーンなんですけど、その市役所の市民課に、近所の主婦の集団が来て、「近所の空き地が下水で汚れてて大変で、あそこをなんとかしてくれないか」って苦情を言うんですね。
で、ここがね、THE・お役所的な感じで面白いんですけど、その苦情を聞いた市民課の課長の主人公が、「それは市民課の仕事じゃなくて土木課に尋ねてください」って言うんですね。
で、それを聞いて、その主婦たちが土木課に行くと、今度は土木課の人から「それは土木課じゃなくて、下水課ですね〜」って言われて、そんな感じで延々とその主婦達がたらい回しにされるんです。
で、たらい回しにされた挙げ句、最終的に主人公のいる市民課に戻ってくると。(笑)
で、主婦たちも怒って帰っちゃうんです。
で、なんか体調が優れない主人公の課長が、病院に行って、自分が胃ガンであることを知るんです。
今まで市役所に勤続30年で皆勤賞で、貯金もたくさんあって、でも何のために生きてきたんだっけ?みたいな絶望感に陥るんですね。
ここで、運命を変える2人の人との出会いがあるんです。
一人目が、そんな絶望を抱えた主人公が飲み屋に飲みに行くと、そこで一人の小説家と知り合うんです。
で、その小説家に自分が胃ガンで余命半年っていうことを打ち明けて、そこで2人が打ち解けて、「じゃあ悔いが残らないように余生楽しもうぜ」的なことになって、小説家が、主人公の課長を、キャバレーとかストリップとかに連れて行って、課長が今まで経験したことがないような楽しさを教えてあげると。
ただ、どんなに散財しても、課長は、「なんか満たされない」っていう気持ちが残るんですね。
で、二人目の出会いっていうのが、市役所の元部下で退職した若い女の子と街で偶然会って、でその子と飲みに行くような仲になるんですね。
で、最初はその元部下も一緒に楽しんでるんですけど、課長が毎日その元部下を誘うようになって、だんだんその元部下の女の子も課長を気持ち悪がるようになるんですけど、
ココら辺のリアルさがまたいいんですよね。(笑)
僕、寡黙な主人公の男が、可愛くて明るい女の子に好かれるみたい話、「そんなんぜってーねーだろ」って突っ込みたくなるんです。
「君の膵臓を食べたい」とか、「天気の子」とかですけど、いやーそれねーだろって思ってます。
でも、この映画はちゃんと気持ち悪がられるのがリアルでなんかいいんですよね。
で、その女の子は、市役所を辞めて、ぬいぐるみ作る工場で働いてて、すごくイキイキしてるんです。
で、その子が課長に「これ作ってると、日本中の子供と仲良くなった気分になれて楽しい」「課長も何か作ってみたら?」って提案するんです。
その言葉に課長が「これだ!」っていう感じで閃いて、次の日から朝イチで出勤して、冒頭に出てきた主婦の苦情である、空き地の下水問題に自ら着手して、「その空き地を埋め立てて、公園を作る」っていうプロジェクトを自ら旗を上げて、自分の残り半年の命を使ってやりきるんです。
で、半年後に主人公は予定通り亡くなって、主人公の葬式のシーンになるんですけど、その葬式に、映画の冒頭で、市役所に苦情を言ってきた主婦たちが、焼香あげにやってきて、この課長の死を本当に皆で悲しむんです。
このシーンが、この映画の最高潮というか、あんなに誰の役にも立ってなかったようなオジサンが、自分の葬式で泣かれるんですね。
で、それを見た同僚たちも、「皆で課長に続くんだ」「俺達もやるぞ」みたいに一念発起するんです。
で、この映画の凄いところは、これで終わらなくて、
次の日、主人公の課長がいた市民課に、新しい苦情が来るんです。
で、その時に、次の新しい課長が「それは土木課に言ってください」って言って、また元のお役所仕事に戻ってるんです。
あんなに昨日皆で「やるぞ」ってなってたのに、もう元通りに戻ってるんです。
これ、耳が痛くないですか?(笑)
多くの人は、一念発起して、何かを頑張ろうと思っても、いつの間にかまた元の日常に戻っちゃうっていう。
これは黒澤明からのメッセージで、「多くの人はこうなっちゃうよね。キミはどうだ?」って問いかけてるような気がします。
まあ、スタエフ毎日更新するって言って、今週ボロボロな僕には非常に耳が痛い話です。(笑)
で、最後に、回想シーンで、主人公の課長が、自分が作った公園で子どもたちが楽しそうに遊んでいるのを目にして、
でその夜に、自分が作った公園のブランコに座って、「命短し恋せよ乙女」って歌って死んでいくと。
でも、すごく満たされてた、幸せそうな表情でブランコに乗って歌って死んでいくと。
という映画になります。いかがでしたでしょうか。
こういう、自分が作ったもので、誰かを幸せにするって言うのが、本当の「生きがい」になりえるっていうのを、この映画から僕が感じたところでした。
ここ数日、震災関連のニュースとか番組が多くて、その中で僕たちみたいに残された、生きている者達がやるべきことってなんだろうって考えてたときに、この映画のことをふと思い出したのでご紹介させていただきました。
というわけで、本日は、黒澤映画『生きる』のご紹介をさせていただきました。
さあ新しい一日が始まる。キミは何をする?
freeでした。